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「が」「で」でだらだらつなげない|結論を待たせない日報の書き方

その日の業務を振り返って書く日報に、こんな一文があったとします。

> 在庫の補充を進めましたが、欠品していた商品はすべて棚に戻せました。

誤字はありません。意味も取れます。それでも「進めましたが」まで来たところで、読み手は反対の結果を一度予期します。補充は進めたけれど戻せなかった、何か問題があった、というふうに身構える。ところが続くのは「すべて棚に戻せました」という順当な報告で、前と後ろはまったく対立していません。逆接を待ち構えた分だけ、読み手は文の向きを文末まで保留することになります。「が」を外してみます。

> 在庫の補充を進め、欠品していた商品はすべて棚に戻せました。

報告している事実も、丁寧さも、そのままです。変えたのは、つなぎ目の「が」を連用形の「進め」に替えて、順当な流れに見せたところだけ。新しい動作は足していません。「が」「で」でつなげないとは、前後がどういう関係なのかを、つなぎ目で読み手に見える形にすることです。

逆接でない「が」は、読み手を一度身構えさせる

「が」は、本来は逆のことをつなぐ言葉です。だから読み手は「が」を見ると、この先で話が反対に折れると身構えます。けれど実際には、ただ文と文をなめらかに続けたいだけで「が」を使う場面が、とても多い。書いている側は前後の中身を知っているので、つなぎ目が逆接に見えても気になりません。読み手は中身をまだ知らないので、逆接の合図だけを先に受け取って、向きを保留したまま進みます。

短い報告でも同じことが起きます。

> 発注書は提出しましたが、控えはこちらで保管しています。

提出と保管は、反対のことではありません。それでも「が」のせいで、提出したけれど何か手違いがあったのか、と一瞬読めてしまいます。ここで読点を足して「提出しましたが、」としても、逆接に見える引っかかりは消えません。直すのは、読点の有無ではなく、つなぎ目の役割そのものです。「が」を連用形の「提出し」に替えて、「発注書を提出し、控えはこちらで保管しています」とすると、二つが並んでいるだけだと素直に読めます。読点では届かない場所だからこそ、つなぎ方を変えます。

「で」「おらず」に理由が隠れると、結論が遠くなる

つなぎ目で向きが曖昧になるのは、「が」だけではありません。「で」や「おらず」「あり」も、前後がどういう関係かをはっきりさせないまま、文を先へ伸ばします。

> 朝はクレーム対応で、午前の納品チェックが終わっておらず、午後にずれ込む見込みです。

「クレーム対応で」が、納品チェックが終わらなかった理由なのか、その時間帯の状況をただ添えているだけなのか。「終わっておらず」が、理由の続きなのか単なる状態なのか。読み手はそれを判断しながら進み、そのうえで肝心の「ずれ込む見込み」が文末まで出てきません。何が原因で何が結果なのかを、最後まで抱えることになります。隠れていた理由を、見える言葉に出してみます。

> 朝はクレーム対応が続いたため、午前の納品チェックがまだ終わっていません。完了は午後にずれ込む見込みです。

情報も丁寧さも減っていません。「で」を「続いたため」と理由の形に直し、「おらず」を「終わっていません」と言い切って、見込みを別の一文に分けただけです。理由を「ため」とはっきり示すと、読み手はそこが原因だと迷わず受け取れます。 見込みは独立した一文にしましたが、二文にとどめています。短い要素まで律儀に切り出すと、文がぶつ切りになって、かえって読みにくくなるからです。

同じ理由の隠れ方は、一文のままでもほどけます。

> 急ぎの出荷が二件あり、棚卸しは午後に回しました。

「二件あり」が、出荷があったという並列の事実なのか、棚卸しを後回しにした理由なのか。ひと呼吸ぶん曖昧なので、読み手は前後をつないで理由を自分で補います。「あり」を「あったため」に替えて、「急ぎの出荷が二件あったため、棚卸しは午後に回しました」とすれば、一文のまま理由がはっきりします。件数も予定もそのままで、わざわざ別の文に切り出していないので、ぶつ切りにもなりません。

つなぎが続くと、文の向きが揺れる

ひとつの文の中で同じつなぎ目が重なると、どこが対比でどこが場つなぎなのかが、さらに取りにくくなります。

> 試食の準備は整いましたが、声かけの担当はまだ決まっていませんが、開始時間には間に合う見込みです。

「が」が二度続くと、読み手は文の向きを途中で取り直します。一つ目の「が」は、準備が整ったことと担当が未定なことを並べているだけで、対比ではありません。けれど二つ目は、決まっていないのに間に合う、という本当の逆接です。同じ「が」でも、向きを変える「が」と、ただ並べているだけの「が」があります。 並べているだけの一つ目を句点で切り、本当の逆接の二つ目は残します。

> 試食の準備は整いました。声かけの担当はまだ決まっていませんが、開始時間には間に合う見込みです。

全部を切ったわけではありません。関係が見えない「が」だけを直し、意味のある逆接はそのまま生かしています。

動作が「で、」「て、」で連なるときも、近いところで読み手が一瞬さばきます。

> 返品は専用の伝票で処理して、システムにも登録して、棚に戻しました。

処理する、登録する、戻す、の三つが同じ調子で続くと、どれが中心の作業でどれが付随なのかを、読みながら振り分けることになります。ただ、これは一連の近い作業なので、無理に三つへ切り分けると今度は細切れになります。「返品は専用の伝票で処理し、システムにも登録して棚に戻しました」と、運ぶリズムをそろえるだけで十分です。手順も省いていません。

どの「が」「で」を直すか

ここまで読むと、「が」と「で」はできるだけ避けたほうがよい、と思えるかもしれません。けれど、向きを変える本当の逆接の「が」まで外すと、今度は前後の関係が伝わらなくなります。直すのは、逆接でないのに逆接に見える「が」、理由なのに理由だと分からない「で」「おらず」「あり」のように、前後の関係が見えないつなぎ目だけです。 関係がはっきりしているなら、長めの一文でもそのまま読めます。

切り方にも同じ加減があります。隠れた理由を表に出すために文を分けるのはよいことですが、短い理由まで「〜ためです」と独立させると、読点と句点が増えて読みにくくなります。短い理由は前の文に折り込み、長い説明や別の結論だけを外へ出す。分けるのは、結論を早く渡し、原因と結果を見えるようにするためであって、文をなるべく短く刻むためではありません。

日報を出す前に、「が」と「で」でつないだところを、一度だけ見直してみてください。そこが逆接でないなら連用形でつなぎ、理由が隠れているなら「ため」で表に出す。それだけで、読み手は結論を待たされずに済みます。次回は、つなぎ目ではなく見た目の話で、漢字とかなのバランスを整えるを扱います。

出す前に、さっと校正

「この使い方、合っているかな」と迷ったら、書いた文章をLINTOに貼って校正してみてください。誤字や表記のゆれ、読みにくい言い回しまで、無料でまとめて見直せます。メールを送る前、記事を公開する前、SNSに投稿する前のひと確認に、どうぞお役立てください。

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