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述語を使い回さない|誰が何をするかを迷わせない文の書き方

会議のあと、議事担当の方が決定事項をさっと書き起こす。そんな場面で、こんな一文ができあがることがあります。

> 来期の予算案は総務課がとりまとめ、各課はそれぞれの要望を月末までに提出し、来週の会議で報告します。

誤字はありません。一読するとすらっと流れます。それでも、文末の「報告します」まで来たとき、報告するのが総務課なのか各課なのかが、文だけでは決まりません。前に出た二つの主語、「総務課が」と「各課は」のどちらに結びつくのかを、読み手はもう一度さかのぼって確かめることになります。

文を短くしようとすると、複数の主語や目的語に、ひとつの述語をまとめて預けたくなります。述語は、前に並んだ言葉を文末でまとめて引き受ける場所です。引き受けるものが多すぎたり、行き先が分かれていたりすると、読み手はそこから前へ戻ることになります。 今回扱うのは、この戻る負担です。

文末でひとつの述語にたどり着いたとき、行き先が分かれる

さきほどの予算案の文を、もう一度見てみます。前半の「総務課がとりまとめ」までは迷いません。問題は、「各課はそれぞれの要望を月末までに提出し」を挟んだあとで、文末の「報告します」に着いたときです。直前の主語は「各課は」ですが、報告するのはとりまとめ役の総務課のはずです。一読では流れても、あとで「報告するのは結局どちらだったか」を見返したくなります。

ここでは、報告する人と提出する人という、行為者が途中で入れ替わっています。行為者が変わるところで二つの文に分け、文末の述語を、その主語のすぐそばに寄せると、戻る必要がなくなります。

> 来期の予算案は、総務課がとりまとめて来週の会議で報告します。各課は、それぞれの要望を月末までに提出してください。

並んでいた項目も期日も内容も、変えていません。「報告します」を主語「総務課が」のそばへ寄せ、各課の動作はそのまま別の文に置いただけです。行為者が切り替わる文で述語を使い回すと、最後の動作が誰のものか決まりません。切り替わる手前で文を分け、述語を主語の近くに置きます。

述語が自然に受けられる相手かを確かめる

主語ではなく、目的語の側で使い回しが起きることもあります。次の文は、三つのことをひとつの「確認しました」でまとめています。

> 会議では、前回の議事録の内容と、次回の開催日、新しい備品の購入を確認しました。

「議事録の内容を確認」「次回の開催日を確認」は、すんなり読めます。ところが文末で「備品の購入を確認」に当たると、購入は確認したのか、それとも決めたのかが、一瞬あいまいになります。三つの項目が同じ形で並んでいるぶん、引っかかりはさりげなく、一度だけです。それでも読み手は、どれが本当に確認だったのかを前へ戻って選び直します。

直し方は、述語を正しい相手に振り分けることです。「確認」で自然に受かる二つはまとめ、受からない一つだけを、会議が実際にした動作に分けます。

> 会議では、前回の議事録の内容と次回の開催日を確認しました。新しい備品の購入も、あわせて決めました。

備品の購入が会議で決まったという事実は、変わっていません。ひとつの述語に無理に寄せていたものを、合う相手に渡しただけです。見分けるこつは、文末の述語を取り出して、前に並んだ言葉へ一つずつ当ててみることです。 「議事録の内容を確認」「開催日を確認」「備品の購入を確認」と声に出すと、最後だけ相性が悪いことに気づけます。

名詞でまとめた動作は、動詞に戻すと近づく

述語の使い回しは、動作を名詞にしたときにも起こります。次の文では、実際にする動作が文末まで保留されています。

> 安全対策については、現地の確認と関係先への連絡を行います。

「確認」「連絡」を名詞にして、「行います」でひとまとめにしています。読み手は「行います」を読んでから、前の二つの名詞に動作を当て直すことになります。何をするのかが、文末まで遠いのです。名詞にしていた部分を動詞へ戻し、まとめ役の「行います」を外すと、動作が前に出ます。

> 安全対策については、現地を確認し、関係先へ連絡します。

対象も内容も、足したり減らしたりしていません。「確認」「連絡」「対応」などの名詞が並び、最後に「行います」「可能です」で受けている文は、動詞に戻せないかを見てみてください。 動詞に戻すと、誰が何をするのかが文末を待たずに伝わります。

そろっている並びは、無理に分けない

ここまで読むと、述語はできるだけ分けたほうがよい、と思えるかもしれません。けれど、分けるのは行き先が分かれているときだけで十分です。同じ動作で自然に受かる並びは、ひとつの述語のままにしておきます。

> 議事録には、日時、場所、出席者、決定事項を記録します。

四つとも記録する対象で、主語も同じです。文末の「記録します」がそのまま全部にかかるので、読み手は戻らずに受け取れます。ここで「日時を記録します。場所も記録します」と律儀に切ると、かえって文がぶつ切りになり、読点や句点が増えて読みにくくなります。

述語を分けるのは、相手によって動作が変わる箇所や、行為者が切り替わる箇所だけでよいのです。 語尾や言い回しを好みでそろえても、読みやすさは変わりません。手を入れるのは、文末で読み手が前へ戻らされる場所に絞ります。同じ動作で受かる並びまで分けるのは、過剰な訂正になります。

迷ったら、文末の述語をひとつ取り出して、前に並ぶ言葉へ順番に当ててみてください。全部に自然にかかるならそのまま、最後の一つだけ浮くなら、そこで分ける。次回は、こうして並べた項目そのものの形をそろえる、並列・対比をそろえるを扱います。

出す前に、さっと校正

「この使い方、合っているかな」と迷ったら、書いた文章をLINTOに貼って校正してみてください。誤字や表記のゆれ、読みにくい言い回しまで、無料でまとめて見直せます。メールを送る前、記事を公開する前、SNSに投稿する前のひと確認に、どうぞお役立てください。

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