「確信犯」の本来の意味|「わざと」ではない、その由来
「また締め切りぎりぎりに出してきた。あれは確信犯だね」。いまの会話では、「悪いと分かっていて、わざとやる人」くらいの意味で使うことが多いと思います。でも、もともとはずいぶん違う言葉でした。
本来は「正しいと信じてやる」こと
ここでいう確信とは、「悪いと分かっている」という確信ではありません。自分の行為は正しい、という信念のことです。政治的・宗教的・道徳的な信念にもとづいて、本人が正しいと信じて行う犯罪や行為。それが、もとの意味でした。同じ意味で「信念犯」と呼ぶこともあります。
意味がずれて伝わるのも、無理はありません。字面だけ見れば「確信を持って犯した」と読めますし、「分かっていてやった」と受け取るのは自然ですから。でも、もとの語で確信しているのは、悪さのほうではありません。本人は、自分の正しさのほうを確信している。ここがいちばんの違いです。
「故意犯」「過失犯」とは別もの
法律の世界では、わざと行うのが「故意犯」、不注意によるのが「過失犯」と分かれます。確信犯は故意犯の一種ですが、本人が「正しい」と信じている点が際立ちます。日常で「わざと」の意味で使うとき、本当に近いのは確信犯ではなく「故意犯」のほうなんですね。思想や信条がからむ「思想犯」「政治犯」とは、地続きの言葉です。
たとえば「彼は怒られると分かっていて、確信犯的に遅刻した」。日常では通じますが、ここで言いたいのは「故意に」「わざと」ですから、本来の意味からは外れています。反対に、「信念にもとづいて法を破った行為を確信犯と見る」なら、もとの意味に近い使い方です。
「わざと」と伝えたいなら言い換える
いまは「悪いと分かっていてやる」という意味で受け取る人がかなり多い言葉です。ですから、ただ相手を責めたいだけなら、言い換えは「故意に」「意図的に」「わざと」で足ります。「確信犯」は、信念や思想がからむ場面のためにとっておくと、誤解が生まれにくくなります。
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